チベット仏教聖地ラサ(拉薩)
去年のミャンマー仏教研修旅行中に「来年はチベットに行こう」と盛り上がり、2019年6月6日から訪れてきました。チベットやチベット仏教に関しては、同行するお坊さんも詳しい情報をもっていなかったため、渡航前にチベット仏教の歴史、教えの根幹、現在の状況などをチベット仏教に詳しい回答僧の川口英俊さんに講義をしてもらいました。
勉強してから行ったチベットは、宗教に興味があるなしに関わらず、人間にとってもっとも大切であろう「信仰」を深く考えさせられる場所でした。
インド仏教を直接受け継ぐチベット仏教
ダライ・ラマ法王
チベット仏教と聞いて一般の人がイメージするのは、ダライ・ラマ法王でしょうか。
wikipediaによると、
ダライ・ラマとは、チベット仏教で最上位クラスに位置する化身ラマです。化身ラマとは、衆生(人々)に教えを伝えるために、菩薩や如来の化身としてこの世に現れた師僧のことを呼びます。
現在在位中のダライ・ラマはダライ・ラマ14世ですが、チベット自治区(中国)にはいません。
1959年に、中国政府によるチベット仏教排撃(チベット動乱)により、インドに亡命して、ダラムサラという地でチベット亡命政府を樹立しています。
インド仏教を直接受け継ぐチベット仏教
詳しい話は、川口英俊さんのブログや、その他の情報に頼るとして、チベット仏教と日本の仏教違いとして、
チベット仏教:インド仏教が直接伝わった。
日本の仏教:インドからシルクロード、中国、朝鮮半島を経由して伝わった。
という違いがあります。
寺院には多くの曼荼羅=マンダラ(悟りの境地を図で表したもの)や六道輪廻図(天道・阿修羅道・餓鬼道・畜生道・地獄道、人間界である人道のどれかに生前の行いによって死後輪廻転生する。この輪廻の輪から脱出して極楽浄土にいくことが仏教徒のゴール)があり、その手法として瞑想やマントラ(真言)を唱えたり、ヨーガやチャクラを開放する動きをして実践していくようです。その教えは密教(わかりやすい言葉で広く一般に伝えるのではなく、修行者間だけで口伝していく)として、宗教的な体験を通して体得していくもののようです。一般にはわかりにくく、神秘的な側面があります。1回訪問しただけでは到底わからないのですが、日本で感じる仏教とは違う、別の側面も知れてとても奥深いです。
チベットでみた仏様
チベットの寺院でよく見た仏様。一緒に行ったお坊さんによると同じ仏様でも日本のものとは表情や手に持っているものが違ったりで、その歴史経緯などをガイドさんに聞いてまわるのが楽しかったようです。
特によくみたのが、
観音菩薩(ボーディ・サットヴァ) :慈悲の化身と言われる。観音菩薩の真言は「オム・マニ・ペメ・フム」。チベットで最も有名でみんなが唱えるマントラという。
弥勒菩薩(マイトレーヤ):未来仏。釈迦入滅から56億7000万年後に仏となってこの世に現れ、衆生を救済するという
文殊菩薩(マンジュシュリー):日本でもお馴染みの知恵の仏。三人寄れば文殊の知恵。
チベットの人たちもお祈りをしながら仏様を見てまわっていました。信仰の深さをここにも感じます。
多羅菩薩に心奪われる
今回みた仏様の中でも特に印象的だったのが、ガンデン寺という寺院で見た多羅菩薩。女性の仏様で、あまりの美しさに心を奪われた。同じ表情の絵はこの寺にしかなく、ネットで検索しても出てこないので、またガンデン寺にいって拝みに行くしかない。
信仰と政治
旅の前から、チベット仏教の現状は詳しいお坊さんから聞いていました。信仰を奪われ、強制的に改宗させられる。それは人間の尊厳を削ぐことに変わりありません。
チベットでは、ダライ・ラマの写真を持ち歩けません。表向きは仏教聖地ではなく、観光都市としてしかラサは存在を認められていないようです。チベットのお坊さんも何か「ぬるい」ように見えたと一緒に行ったお坊さんたちが話していました。
それは後から聞くと、わざと手を抜いて見せることによって、中国共産党政府に目を付けられずに自分たちのここでの僧侶としての存在を保っておくための方策だと知り、心が痛みました。
それでも熱心に自分の信仰のために祈りながら歩く人々を見ると、我々にできることは、共に祈ることと、この現実を見て、知って、伝えることだと感じます。
政治的な発言をここで大きく言うことはやめておきますが、東日本大震災で感じた日本人の美徳、誇りがhasunohaという形で立ち上がったように、信仰の自由をどこの国の人でも享受できるような世界になってほしいと、何かしらの形を今後も続けて発信していきたいと思います。
マントラを心に。オム・マニ・ペメ・フム
チベットの人たちの厚い信仰心を見て、どこにいてもこの人たちと一緒にいると感じたいと思い、指輪を買いました。チベットの誰もが唱えるマントラが刻まれた指輪です。
チベットの人とともに祈ろうと思っています。
ダライ・ラマ14世によると、オム・マニ・ペメ・フムは、細かく分けるとオム・マ・ニ・ペ・メ・フムという六つの真言(シックス・シラブル・マントラ)で構成されている。ダライ・ラマは、「これら六つの真言は、私たちの不浄な身体・言葉・思考を、完全に統一された秩序と知恵の教えの道に導くことにより、仏陀になれる」の意と説明する。
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